
白内障は、加齢とともに誰にでも起こり得る目の病気ですが、適切なタイミングで治療を受けることで日常生活の質を大きく改善することができます。
しかし、受診が遅れたり、進行し過ぎた状態で手術を行う場合、手術が難しくなってしまうこともあります。
このコラムでは、白内障手術が難しくなるケースや、そのリスクを減らすために患者さんに知っておいていただきたいポイントをお伝えします。
白内障手術が難しくなるケース
白内障の手術は、手術技術の向上や医療機器の進化などにより、今ではとても安定して行われる手術です。
ただし、「手術」と名前がつくものに「100%安全!」と言えるものはありません。特に、白内障手術には少し難しいケースもあります。
白内障手術が難しくなる場合には、大きく分けて2つの理由があります。
1.目の状態が元々難しい場合
例えば、昔のけがや病気が影響しているケースです。
中学生の頃に野球のボールが目に当たってしまい、目の中にある「毛様小帯(チン小帯)」という部分が傷ついた方がいます。この「毛様小帯(チン小帯)」とは、水晶体(目の中のレンズ)を細い糸のようなもので支えている部分のことです。

けがの記憶は薄れていても、この毛様小帯(チン小帯)が弱っていることで目の中が不安定になっている場合があります。手術中にさらに負担がかかり、毛様小帯(チン小帯)が切れやすくなることもあるのです。
また、「嚢性緑内障(水晶体落屑症候群)」という病気もあります。これは水晶体の前側に粉がたまって緑内障を引き起こす状態で、この病気も毛様小帯(チン小帯)が弱いことが原因といわれています。
このような場合、患者さん自身のせいではなく、目の状態が原因で手術が難しくなります。
2.白内障が進行しすぎている場合
手術を先延ばしにしてしまうと、白内障がどんどん進んでしまい、手術が難しくなることがあります。「怖いから手術を受けたくない」「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、見えにくさが進んでしまうこともあります。
白内障は進みすぎると、手術中の合併症(予期せぬ問題)が起こりやすくなるため、医師にとっても難しい手術になってしまいます。


手術中のリラックスが大切です

手術をスムーズに行うためには、患者さんのリラックスがとても大切です。手術中は、視線をきょろきょろせずに自然に両目を開いていてください。医師より「右を見てください」「光の方を見てください」などの指示があった場合だけ、目を動かすようにしましょう。
白内障手術は安全な手術とはいえ、高い精度が求められます。リラックスして目を開けているだけで、手術の成功率が大きく上がるのです。それでも緊張してしまう、という方にはリラックス効果が得られる笑気麻酔を行うことも出来ますのでご安心ください。
患者さんにお願いしたいこと
白内障手術を安全に、そしてスムーズに行うために、患者さんにお願いしたいことは次の2つです。
1.早めに受診をすること
少しでも「見えにくい」と感じたら、まずは受診してください。白内障は、早い段階で治療するほうが簡単で、安全な手術が可能です。
2.手術の時はリラックスすること
手術中は両目をぼんやりと開けたまま、落ち着いていただくことが大切です。「力を抜いて目を開けていればいいんだな」と思ってください。
最後に
白内障手術は、多くの方が受けている安全な手術ですが、状態が進みすぎてしまうと難しくなることがあります。ものがぼやけて見えるな、白っぽくかすんで見えるな、視力が下がったな、などと少しでも感じたら、まずは気軽に眼科へ受診しましょう。
そして、手術が決まった際は「リラックス」を心がけていただくと、医師も最善を尽くすことができます。
いつでもこんの眼科までご相談くださいね。