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「最近、うちの子がテレビを近くで見るようになった」
「学校の黒板が見えづらいみたい」
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そんな日常の小さな気づきから、子どもの“視力低下”に気づく親御さんも少なくありません。特に小学生のうちは目の成長が著しく、「近視が進みやすい年代」とも言われています。
そんな中、注目されているのが、夜寝るときにだけ特殊なレンズを装用する“オルソケラトロジー”という新しい近視抑制治療です。
本コラムでは、「オルソケラトロジーってなに?」「小学生にも使えるの?」「費用や安全性は?」など、保護者の方が気になるポイントを解説します。
参考HP:Menicon オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは? 〜【夜に使う】+【昼は裸眼】が叶う近視矯正〜

オルソケラトロジー(Orthokeratology)は、就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状を矯正し、日中は裸眼でも見えるようにする治療方法です。
☑️ レーシックやICLなどの手術は不要
☑️ 昼間はメガネもコンタクトレンズも不要
☑️ 視力の矯正+近視進行抑制が期待できる
☑️ 外見が気になるお子さまやスポーツに打ち込みたいお子さまにも人気
☑️ 治療を中止すれば元の目の状態に戻る
このようなメリットから、小学生から始められる“治療+ライフスタイルの改善”の両立を可能にする近視対策として、国内外で注目を集めています。
なぜ今、オルソケラトロジーが注目されているのか?

その理由は近視の「進行」にあります。 近視の進行は、ただ視力が下がるだけでなく、眼球が前後に伸びる「軸性近視※」を引き起こし、将来的に網膜剥離や緑内障などの重い眼疾患に繋がる可能性があるのです。
※「軸性近視」についてはこちら↓↓
【前編】お子様の近視が進む前に|親が知っておくべき予防と治療の最新知識【さいたま市浦和区 -こんの眼科-】
近年の研究では、オルソケラトロジーがこの眼軸の伸長を抑制する効果があると示されています。つまり、視力を改善しながら、将来の目の病気を予防できる可能性があるということです。
小学生から始められる理由と年齢の目安
オルソケラトロジーは、基本的に6歳以上で目の状態や本人の意思確認ができれば適用可能です。
【オルソケラトロジーが向いているお子さま】
♦︎ 軽度~中等度の近視(-1.00D~-4.00D程度が目安)
♦︎ 眼鏡やコンタクトを嫌がるお子さま
♦︎ スポーツやダンスなどで裸眼の方が活動しやすい
♦︎ 家族や本人が近視の進行を心配している
オルソケラトロジーの装用には習慣化や手入れが必要ですが、親御さんのサポートがあれば、小学生でもしっかり取り組むことができます。
オルソケラトロジーのメリット・デメリット

オルソケラトロジーの代表的なメリットとデメリットについて説明します。
◎メリット
☑️ 日中は裸眼で快適に過ごすことができる
☑️ メガネ・コンタクトレンズの使用によるストレス軽減
☑️ 近視進行の抑制が期待できる
☑️ 手術ではないため、途中でも中止することが可能
△デメリット
❎ 保険が適用されず、費用は全額自己負担
❎ 毎日の装用と洗浄などのケアが必要
❎ 適応には目の形状や涙の状態などの条件がある
「自費ということは費用が高いのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、長期的に考えると“目の健康投資”としてコストパフォーマンスは高いと考えられます。
安全性は?副作用はあるの?
オルソケラトロジーは、長年の研究と臨床実績に基づく安全性の高い治療法です。 ただし、正しい使用方法を守らなければ、以下のようなトラブルのリスクもあります。
■ レンズの清潔管理が不十分 → 結膜炎や角膜炎のリスク
■ 長時間の装用 → 酸素不足による角膜障害
■ 適切な検査や定期的な通院を怠る → フィット不良・視力低下
医師の診察のもとでの導入と、3ヶ月ごとの定期的なフォローアップがとても重要です。定期的な受診が難しい方はオルソケラトロジー治療をお断りする場合もございます。
保護者の方がよく聞かれるご質問(Q&A)

Q:うちの子は7歳ですが、適応できますか?
A:はい、眼の状態に問題がなければ適応可能です。視力・眼軸・角膜形状などの検査を行ったうえでご案内します。その後、テスト装用や着け外しの練習を行い、問題なければオルソケラトロジーの治療を開始いたします。
Q:痛みはありますか?
A:はじめは違物感や痛みがある方もいらっしゃいます。麻酔の目薬をお渡ししますので、最初の1週間は併用してもかまいません。
Q:毎日レンズをつけるのは大変では?
A:最初はご家庭でのサポートが必要ですが、多くのお子さんが1〜2週間で慣れます。毎日の洗浄も歯磨きのように習慣化されます。レンズの扱い方も通常のハードコンタクトレンズとさほど変わりません。
Q:どのくらいの期間で効果が現れますか?
A:近視の強さにより違いがあります。早い場合は翌日から、遅くても1〜2週間程度で安定すると言われています。
Q:効果がなかったらどうなりますか?
A:効果が不十分な場合は装用を中止することも可能です。治療を中止すれば目の状態は元に戻るため、途中でやめても問題はありません。
Q:一定期間ごとにレンズの交換は必要ですか?
A:レンズの寿命は、1~2年です。レンズの扱い方や眼の状態により異なります。
近視の変化やレンズの傷汚れを考慮して、医師の指示のもとにレンズを交換します。(交換費用がかかる場合があります)
Q:定期検診はどのくらいの頻度で行いますか?
A:当院の規定としてレンズを装用し始めた翌日・一週間後・二週間後・三週間後・一ヵ月後・二ヵ月後・三ヵ月後の定期検査があります。その後は三ヶ月に一度の定期検査を受けていただきます。
Q:お昼にレンズを着けても大丈夫ですか?
A:昼間のレンズ装着も問題ありません。この時はレンズの合わせが少し変わってきますので、事前にお知らせください。
こんの眼科でのオルソケラトロジー対応について
こんの眼科では、オルソケラトロジー治療を提供しています。 ご家族の疑問・不安を丁寧にヒアリングしながら、以下のような流れでご案内しています。
〜オルソケラトロジー治療の流れ〜
① オルソケラトロジーの適応検査(視力・眼軸・角膜形状などの検査)
② 予約にて、トライアルレンズの装用や着け外しの練習、洗浄指導
③ レンズが届いたら、オルソケラトロジー治療を開始(初めて装用した翌日は検査と診察があります)
④ 定期的な経過観察(一週間後・二週間後・三週間後・一ヵ月後・二ヵ月後・三ヵ月後ごとなど)
視能訓練士を始め、眼科専門医が診察・対応いたしますので、お子さまの目の状態や生活スタイルに最適なアドバイスが可能です。
オルソケラトロジーの費用は自費診療となっており、半年分のケア用品、検査、診察代を含め「248,600円(税込)」となっております。(初回のみ)
まとめ:お子さまの未来の“見える”を守る選択

オルソケラトロジーは、「近視進行を止めたい」「メガネに頼らず快適に過ごしたい」と願う多くの親御さんにとって、新しい選択肢となりつつあります。
一度進んだ近視は戻せません。
だからこそ、「まだそこまで進んでいない今」のタイミングで、治療・予防・生活習慣の見直しを始めることが、お子さまの視力と未来を守る大きな力になります。