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赤ちゃんの視機能は生まれた時は未完成で、成長するにしたがってどんどん発達していきます。赤ちゃんの健やかな目を守るためには、目の異常に早めに気付き、すぐに対処する必要があるでしょう。
本記事では、赤ちゃん(新生児・乳児)に起こりやすい目の病気とその原因、予防や対処の方法について記載しています。
赤ちゃん(新生児・乳児)がかかりやすい目の病気と症状
赤ちゃんの目の病気はさまざまですが、ここでは特に起こりやすいものについて解説します。
白いカスミ(白内障)
生まれつき水晶体が濁っており、目の真ん中が白または灰色っぽく見える「先天性白内障」にかかっていることがあります。高度の両眼性先天白内障の場合、眼の揺れや異常な眼の動きが見られる場合もあります。
ピンクアイ(結膜炎)
上下まぶたの裏側から白目の表面を覆う半透明の膜のことを結膜といい、結膜に炎症が起こることを結膜炎といいます。結膜炎は、原因によって「ウイルス性」「細菌性」「アレルギー性」などに分けられます。
ウイルス性結膜炎の症状:急激に起こる充血、目やにが多い、涙が流れる、目を動かすと痛みを感じる
細菌性結膜炎の症状:目の充血、黄色っぽい目やにが出る
アレルギー性結膜炎:目のかゆみ、目をこすると痛みが増す、目の充血、まぶたの腫れ
引用:日本小児眼科学会 結膜炎
ぱっちり目(眼球突出症)
眼球が前に飛び出したり押し出されたりする病気で、一般的に甲状腺機能亢進症や眼窩腫瘍が原因とされています。
片方の目だけが前方に突出することで、もう一方の目と位置が異なって見えてしまう場合があります。また、まぶたが開閉しづらかったり、目の乾燥や目の周りの腫れにつながることも。視力が低下する場合もあります。
近視・遠視・乱視
赤ちゃんの目が見えにくくなる原因は、主に「近視」「遠視」「乱視」の3つです。赤ちゃんは自分で話すことができませんから、定期的に受診してチェックしてもらうことが大切です。
近視の場合、近くのものは比較的はっきり見えますが、遠くのものはぼやけて見えます。
逆に遠視の場合、遠くのものは比較的はっきり見えますが、近くのものはぼやけて見えます。お絵描きや絵本を読むことなど、手元に集中する遊びが長続きしないのは遠視が原因かもしれません。また、ピントを合わせようとして寄り目になる症状が見られることもあります。
乱視では、一か所に焦点が合わず、ものが歪んで見えたりぼやけて見えたりします。近視と遠視の症状を併せ持つ場合もあります。
赤ちゃんの目の病気の要因
赤ちゃんが目の病気にかかる要因はさまざまですが、大きく下記の3つに分類されます。
- ・遺伝性要因
- ・環境要因
- ・先天的なもの
遺伝性要因
染色体や遺伝子に異常が生じ、親から子に目の病気が遺伝することがあります。ただし、必ず遺伝するとは限りません。
遺伝性の目の病気には下記のようなものがあります。
- ・先天性白内障(生まれつき水晶体が濁っており視力が発達しにくい。なるべく早く手術をする必要がある)
- ・斜視(間欠性外斜視は染色体優性遺伝の病気だが、起こる確率はそれほど高くない)
- ・網膜芽細胞腫(眼科におけるがんのことで、早期発見・治療が求められる)
- ・緑内障(眼圧が高くなり、視力が低下したり視野が狭くなったりする病気)
- ・屈折異常(近視、遠視、乱視などのこと。眼鏡をかけてピントを合わせることで矯正できる)
- ・色覚異常(赤や緑を識別しにくい病気で、ほとんどが男性にみられる。社会的な制約はほぼない)
- ・網膜色素変性(視野が周辺からだんだん狭くなる病気)
環境要因
空気中の花粉や汚染物質、紫外線など、赤ちゃんの過ごす環境が原因で、下記のような目の病気が起こることがあります。
- ・白内障
- ・結膜炎
- ・アレルギー性結膜炎
- ・加齢黄斑変性症
また、赤ちゃんの目は大人に比べて紫外線の影響を受けやすいため、紫外線対策をしっかり行う必要があります。
先天的なもの
母親の病気や薬物使用、遺伝子の変異など、出生前や出生時の状態が原因で病気が起こることがあります。生まれたときすでに症状が現れていることもあり、早期発見と治療が求められます。
- ・先天性白内障
- ・網膜症
- ・先天性緑内障
- ・先天的視神経障害
赤ちゃんの目の病気を予防するには
赤ちゃんの目の病気を予防し、健康を保つにはどうすればよいか、ポイントをまとめました。
定期的な目のチェック
赤ちゃんは目の異常を自分で訴えることができないため、重大な病気を見落としてしまう恐れがあります。目の病気や異常を早期に発見し、早い段階で治療を受けるために、定期的な検診を受けましょう。生後1か月以内に受診し、生後6か月までに再度受診することが推奨されています。
赤ちゃんの周りを清潔に保つ
赤ちゃんの周りを清潔に保つようにしましょう。赤ちゃんに触る前には必ず手を洗い、赤ちゃんが過ごす場所や使うおもちゃも清潔にします。
また、赤ちゃんの目元に汗や涙がたまっていたら、清潔な布で優しくふき取ってあげましょう。新生児の場合は、目尻から目頭にかけてふき取る方法が望ましいとされています。
健康的な生活を送る
妊娠中に健康的な生活を送ることは、赤ちゃんの目の発達に良い影響を与えます。ビタミンAが豊富な緑黄色野菜やDHAが含まれる青魚を摂るようにし、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
赤ちゃん自身が適切な睡眠を取り、適度に運動することも、目の健康を保つために必要なことです。
赤ちゃんの目の病気を予防するための応急処置
赤ちゃんは自分で危険を察知できず、目に何かを入れてしまったり、目をぶつけてしまうことがあります。周りの大人がどんなに注意して見ていても、事故は起こってしまうもの。赤ちゃんの目を守るために、すぐに医療機関を受診することが必要です。
ここでは、赤ちゃんの目のトラブルが起こった場合の応急措置と医療機関の受診について解説します。
応急措置
赤ちゃんの目に何か入ってしまった場合、無理に取ろうとしてはいけません。さらに損傷が起こる可能性があります。
赤ちゃんが目をぶつけてしまった場合は、冷たい布か保冷剤を目に当ててください。
化学薬品などが目に入ってしまった場合は、弱い水流で目をすすいでください。
医療機関の受診
上記で述べた応急処置を行ったら、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。
また、かかりつけ医は赤ちゃんの普段の健康状態を知っており、適切な治療やアドバイスをしやすいです。赤ちゃんの目に異常を感じたら、まずはかかりつけ医に相談し、必要があれば専門の医療機関を紹介してもらうのがよいでしょう。
赤ちゃんの目の病気の治療法や対処方法
どんなに対策していても、目の病気にかかってしまうことはあるでしょう。赤ちゃんが目の病気にかかってしまった場合、下記のような治療や対処を行います。
- ・眼鏡や目のトレーニング
- ・薬を使う
- ・手術
眼鏡や目のトレーニング
近視や遠視で目が見えにくい場合、眼科医の検査を受けた上で、眼鏡やコンタクトレンズを使って矯正します。乱視の場合も眼鏡やコンタクトレンズを使用しますが、手術しなければならない場合もあります。また、斜視の場合は、専門家の指示を受け目の筋肉をトレーニングします。
薬を使う
目の炎症や感染症は、抗生物質や抗炎症薬などを使って治療することがあります。また、弱視にも薬物療法を行う場合があります。必ず医師の診断を受けたうえで、処方された薬を使用しましょう。
手術
眼鏡や薬で治すことができない病気は、手術が必要になります。
先天性白内障の場合、白内障を取り除く手術を行います。斜視はトレーニングで治せることもありますが、目の筋肉のバランスを整えるための手術を行う場合もあります。
内容やリスクをしっかり把握したうえで手術を行い、手術後の目の状態を注意して見守ることが必要でしょう。
まとめ
赤ちゃんの目の病気について解説してきました。赤ちゃんが目の病気にかかる原因は、周囲の環境だけでなく、遺伝や先天的なものもあり、どんなに気を付けていてもかかってしまう可能性はあります。
赤ちゃんの目を健康に保つには、早期発見が大切です。定期的に目のチェックを行い、何か異常があったら直ちに医師に相談して適切な処置を受けることで、赤ちゃんの健やかな目を守っていきましょう。
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