ふとした瞬間、視界の中に光の模様が突然現れ、「幻覚!?」と驚かれたことはないでしょうか。
その症状は閃輝暗点(せんきあんてん)といい、片頭痛の前兆として知られています。
かの有名な小説家、芥川龍之介も閃輝暗点に悩まされており、その経験を「歯車」という作品に残しています。
では、閃輝暗点はなぜ起こるのでしょうか。症状や原因について解説します。
閃輝暗点(せんきあんてん)とは
閃輝暗点(せんきあんてん)とは、視野の真ん中にキラキラとした光やギラギラとした光が現れ、視界の一部が暗くなって何も見えなくなる症状を指します。これらの症状はしばしば「歯車」や「城壁のような形」で現れ、まぶたを閉じても光は消えずにそのまま残ります。通常は15~30分程度で自然に消失しますが、その驚きから眼科を受診される方も少なくありません。
閃輝暗点は片頭痛の前兆、つまり片頭痛が始まる前に現れるサインと言われており、症状が治った後に片頭痛が起こります。
閃輝暗点の原因
閃輝暗点の正確な発生原因はまだ完全に解明されていませんが、以下のような要因が考えられています。
前兆の有無
片頭痛が起きる約10~60分前には、「前兆」と呼ばれる様々な神経系の症状が現れることがあります。閃輝暗点のほか、全身のだるさ、しびれ、言葉が出にくくなるなどの症状が挙げられます。
なお、閃輝暗点を伴う片頭痛は全体の約25%に過ぎません。多くの場合は前兆を伴わずに頭痛が始まりますが、反対に、閃輝暗点だけが現れて頭痛に至らないケースもあります。
片頭痛とはどのような症状なのか
では、片頭痛とはどのような症状なのでしょうか。
片頭痛は週に1~2回、月に1~2回の頻度で発生する強い頭痛であり、頭の片側でズキンズキンと脈打つような痛みが繰り返し起こります。
通常4~72時間程度続き、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音、匂いへの過敏反応を示すこともあります。普段通りの生活が出来ずに寝込んでしまったり、階段の上り下りなど日常的な運動を行うと症状が悪化します。
特に片頭痛は女性に多く見られ、10歳代から20歳代頃から始まり、40歳代を過ぎると頻度が減っていくと言われています。
片頭痛の原因
さまざまな原因により、痛みを感じる神経(三叉神経(さんさしんけい))から痛み物質が出され、これが血管を拡張したり、炎症を起こしたりして、頭痛を引き起こすと言われています。
ストレスやストレスからの解放、寝過ぎや寝不足、天候や気圧の変化、月経周期、アルコール、カフェインなど発生の原因になり得るものはさまざまで、一部の人ではアルコール、チョコレート、チーズ、柑橘類、ナッツなどの食べ物が発生に関連していることもあります。
何が原因となり得るのかは個人差があるため、日頃からどんなときに頭痛が起こるのか、また頻度や痛みの度合いなどを記録する癖を付けておくことも大切です。
リスクと注意点
片頭痛の患者様は脳卒中のリスクが高まることが知られています。特に、45歳未満の女性ではそのリスクが倍増します。また、40歳を超えて初めて閃輝暗点が発生した場合、深刻な病態が隠れている可能性もあり、MRIなどの詳細な検査が推奨されます。
閃輝暗点の症状で眼科を受診した場合は、まず目に異常がないことを確認した後、脳神経内科への紹介が一般的です。適切な診断と治療を受けるため、専門医の診察を受けることが大切です。
まとめ
閃輝暗点は一時的に治るため、つい放置してしまいがちです。しかし、何らかの原因が潜んでいる可能性があるため、まずは医師に相談しましょう。
お困りのことや不安な点がございましたら、どんな小さなことでも結構ですので、ぜひこんの眼科までお気軽にご相談ください。