新学期が始まり、学校の眼科健診の時期がやってきますね。
スマホや電子ゲームを使い始める子どもの低年齢化、そしてコロナ禍でのオンライン授業などで、子どもたちも目を酷使する時代になり、目が悪くなるお子さまが増えています。
すでに軽い近視が始まっているお子さま、これから近視になってくるかもしれないお子さま…眼鏡をかけ始めたり、お子さまが見えにくそうなサインを出し始める前に発症や進行を少しでも遅らせる方法がないものか。
当院の近視に詳しい木下先生に聞いてみました!
木下先生が教える3つの30の法則
① 30分近くを見る作業をしたら
② 30秒遠くを見ましょう!
③ 30cmは離して作業しましょう!
近くをずっと見続けることは近視の進行の元になるそうです。出来るだけ近視を進めないために、本を読んだりゲームをするときは30cm手元から離して良い姿勢で作業をしましょう。長らく手元ばかり見ていると調節筋が疲弊してしまいます。時々は遠くを見たりして焦点を変え、休憩をはさんでくださいね。
その他にも【1日2時間の外遊び】が進行予防に良いと言われています。実際に、「1日2時間以上の屋外活動時間を確保することができれば、両親からの近視の遺伝リスクのある子でも、近視になる割合が低くなった」という海外の報告もあります。紫外線(バイオレットライト)が近視の進行を抑制するのに役立つんだそう。
とはいえ、外遊びの時間が取りにくいのも事実。その場合は、上記の法則を行なってみてください。また、スマホやタブレットの明るさと部屋の明るさを同じくらいにすると良いみたいですよ。
のび太くんはどうして近視になったのか?
さて、木下先生がこんな面白い記事を書かれていました。
のび太くんはどうして近視になったのか? 近視の2大原因、“遺伝”と“環境負荷”を考える (eyehealth.jp)
みなさんご存じドラえもんに登場するのび太君の近視について考えてみたそう。
『のび太くんの日常生活はというと、ママに怒鳴られない限り、勉強なんてほとんどしていません。たまに読んでいる漫画以外、本を開いているところを見たことがないですし、そもそもそうしたものがこの世に登場する前に描かれた作品ですから、のび太くんはスマホやタブレットも持っていません。つまり近視になるような環境負荷が、ほとんどかからない生活を送っています。
一方、そんなのび太くんをどやしつけるママは、のび太くんと同じような度のキツいメガネをかけています。だからきっと、のび太くんの近視はママから遺伝したものだろうと考えられるのです。』
両親のうちの片方が近視である場合、その子どもが近視を発症する確率は、そうでない子どもと比べ、約2倍になるのだそうです。さらに両親ともに近視であった場合は確率がグンと跳ね上がり、およそ5〜6倍になるという調査結果もあります。
近視って、環境要因だけでなく遺伝的要因もあるんですね。
まとめ
今回ご紹介した出来るだけ近視にならない、進行させない対策は環境因子に対する対策であって、頑張って気を付けていただいていてもやはり近視は出てきてしまうもの。遺伝的なものであったり、成長に伴い体が大きくなっていくと眼球もある程度一緒に大きくなっていき、近視は進みます。
いったん近視になってしまうと、進むのを遅らせることはできるのですが、根本的な治療は難しいのが現状です。
近視の発症を防いだり、進行を遅らせるために出来る対策は、
① 定期的に眼科にかかり視力をチェックする
② 必要に応じて医学的対策を取り入れる
(低濃度アトロピンの使用やオルソケラトロジーなど)
③ それぞれに合った近視矯正を行う
かと思います。
お子さまは自主的に見えにくい、とはあまり口にしません。テレビに近づいて見ていたり、顔をしかめてみていたり、健診の紙を貰って帰ってきたり…そういったサインを見逃さないようにしましょう。
学校健診の時期の眼科は大変込み合います。ご迷惑おかけしたりお待たせしてしまうこともありますが、お子さまたちの目を守るために誠意を込めて一生懸命検査・診察を行っておりますので、ぜひ一緒に取り組ませてくださいね。
子供の近視ナビでは木下先生が監修される分かりやすい記事がたくさん掲載されています。お子さまの近視が始まる前に、近視が進んでしまう前に、ぜひご一読ください。
もっと詳しく知りたい、検査を受けてみたいという方は木下望先生の診察日にお越しになってみてくださいね。
【参照】子どもの近視ナビ/アスコム
【参考文献】木下 望 『近視から子どもたちの目を守れ! 近視と闘い続けた眼科医からのメッセージ』(2021年、幻冬舎)