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赤ちゃんがかかりやすい目の病気の一つに、弱視があります。弱視はそのままにしておくと将来大きな影響を及ぼす可能性があるため、早期発見・早期治療が肝心です。赤ちゃんは自分で目の不調を訴えることができませんから、周りの大人が早く気づいて対処してあげる必要があるでしょう。
本記事では、赤ちゃんの弱視が起こる原因や弱視の症状、治療法などについて解説しています。赤ちゃんの健やかな目を守るため、ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんに弱視が起こるのはなぜか
弱視とは、視力が正常に発達せず、視機能の異常を伴っている状態のこと。1歳までに発症し、生後6か月頃から7歳頃までに発見されることが多いです。弱視が起こる原因とリスク要因について解説します。
弱視が起こる原因
赤ちゃんの視力を発達させるには、視覚刺激を与えることが重要です。視力発達の感受性は、生後18か月頃までは非常に高く、その後は減りつつも8歳くらいまで続きます。この時期になんらかの理由で目の網膜や視神経の正常な成長が妨げられ、両眼の視力差が大きくなると、弱視が起こってしまいます。
弱視の原因として、斜視、近視、乱視、遠視、先天性白内障といった眼の病気が挙げられます。これらの病気によって、眼の焦点がずれたり、眼に入ってくる光が正しく屈折されないと、脳が映像を正しく認識できず、弱視を引き起こしてしまうことがあるのです。
なお、弱視は両眼に起こる場合と片眼にのみ起こる場合があります。
弱視になるリスク要因
弱視を引き起こす主なリスク要因についてまとめました。定期的な眼科検診を受け、これらのリスク要因を早めに発見し、治療することが重要です。
リスク要因 | 説明 |
屈折異常 | 屈折異常とは、近視や遠視、乱視のこと。眼球の焦点が網膜に合わないことにより、弱視を引き起こす場合があります。 |
斜視 | 斜視とは、眼の筋肉が不十分なことにより片方の眼が別の向きになってしまう病気。斜視により脳が正常な情報を受け取ることができず、弱視になってしまう場合があります。 |
先天性白内障 | 先天性白内障は、生まれた時から眼のレンズが濁っている病気。これにより弱視を引き起こす可能性があります。 |
その他の眼の病気、疾患 | 眼の病気や疾患が原因で、視力の低下や眼の動きの制限が生じ、弱視になる場合があります。 |
早産、低出生体重 | 早産や低出生体重で視覚系が十分に発達しないことにより、弱視になる可能性があります。 |
赤ちゃんの弱視の症状
赤ちゃんは弱視になっても自分で伝えられませんから、周りの大人が早めに気づいて適切な対応をとる必要があるでしょう。ここからは、赤ちゃんの弱視を見分けるサインを解説します。また、赤ちゃんの成長とともに症状が変化することもお伝えします。
赤ちゃんの弱視のサイン
赤ちゃんの弱視のサインには、下記のようなものがあります。これらのサインが見られたら、速やかに眼科や小児科、小児眼科を受診してください。
- ・眼の真ん中が白い、または光っているように見える
- ・眼の動きが不自然(急に動く、揺れる)
- ・光が入ったときに片方の眼の瞳孔のみ小さく見える
- ・片方の眼からのみ涙が出ることが多い
- ・片方の眼で見づらそうにしている
- ・眼をこする動作をする
- ・片方の眼で見ようとすることが多い
- ・見る方向が偏っているように見える
- ・眼の黒目部分より白目部分のほうが多く見える
- ・子どもの頃、家族や親戚が白内障や緑内障にかかった
赤ちゃんの成長とともに変化する弱視の症状
赤ちゃんの弱視の症状は、目や身体の成長にともなって変化します。年齢ごとの主な症状をまとめました。症状は人によって異なるため、下記以外にも気になる症状があれば、早めに医師に相談してください。
年齢 | 弱視の症状 |
生まれてすぐ~3か月 | 目が泳ぐ。目の真ん中が白く見える。 |
4か月~1歳 | 片目を閉じたまま見る。目の前で動かした指を追えない。 |
1歳~2歳 | 片目を閉じたまま見る。横目で見る。まぶしそうにする。近くを見るときにより目になる。テレビを見る際に極端に近づく。 |
3歳~6歳 | 立体視ができずボール投げが苦手。左右の目の視力に大きく差がある。 |
7歳以降 | 立体視ができず球技が苦手。片目で見る。文字を書くのが苦手。 |
赤ちゃんの弱視の診断と検査
赤ちゃんの間は、視機能が発達するための大切な時期。弱視のサインが見られたら、速やかに専門医に相談し、弱視の診断や検査をしてもらう必要があります。
<赤ちゃんの弱視の診断
赤ちゃんは自分で目の異常を伝えることができませんから、周囲の大人が注意深く観察することが大切です。下記のようなサインがあったら、視力の異常が疑われます。速やかに小児眼科医の診断を受けてください。
- 片目だけで見ている
- 頭を傾ける、目をこらす
- 黒目の真ん中が光って見える
また、特に症状がなくとも定期的に小児眼科を受診するようにしましょう。定期診断を受けることで、気づかなかった異常を早いうちに発見することができます。
赤ちゃんの弱視の検査
赤ちゃんの弱視の検査は、目の動きや視力を確認するためにおこないます。赤ちゃんの目を鏡で映したり、瞳孔拡張剤を使用したりしてチェックします。目の左右の動きや斜視がないかなども確認します。
赤ちゃんの健やかな目を守るためには、眼科医による検査が欠かせません。特に3歳児検診の際には、必ず視力検査を受けるようにしてください。
赤ちゃんの弱視の治療法
赤ちゃんの弱視を治療するには、健眼遮蔽、点眼薬療法、手術療法、眼鏡矯正といった方法があります。治療の方法ごとに効果や負担が異なりますから、医師と相談し、適切な方法を取るようにしてください。
健眼遮蔽
赤ちゃんの視力発達において、視覚刺激は非常に重要です。健眼遮蔽は、健康な方の眼を隠すことによって弱視の眼に多く視覚刺激を与え、視力の発達を促す治療法です。
点眼薬療法
点眼薬療法は、アトピロンという点眼薬を健康な目に点眼し、左右の目の視力の差をなくす治療法です。
手術療法
手術療法は、弱視を引き起こす要因を取り除くために、先天白内障や斜視の手術をおこなう方法です。
眼鏡矯正
屈折異常が原因の弱視であれば、眼鏡矯正をおこないます。眼鏡をかけることによって眼の焦点や明るさ等を調整し、視力を補正します。
ただし、眼鏡矯正のみで弱視を治すことはできません。他の治療方法と併用して、あくまでも補助的な役割で使用しましょう。
赤ちゃんの弱視の予防と早期発見
赤ちゃんの弱視を防ぐために、周りの大人は日頃から予防に努めましょう。また、弱視になった場合には、早期発見と治療が重要です。弱視の予防方法と、弱視を早期発見する方法について解説します。
弱視を予防するために家庭でできること
赤ちゃんの視力を発達させるには、視覚刺激を与えることが重要です。赤ちゃんの目を刺激する遊びやトレーニングは、弱視の予防に役立ちます。おもちゃの色や形を判断する遊びや、おもちゃを赤ちゃんの目の前で動かす遊びなどを取り入れてみましょう。
また、屋内でスマホやパソコンばかり見せているのも、視力の正常な発達にはよくありません。外に出て遊ぶ機会を増やしましょう。
定期的に目の検査を受けることも大切です。もし眼鏡が必要になった場合は、医師の診断を受けたうえで赤ちゃんの目に合ったものを使うようにしましょう。
弱視を早期発見するために
赤ちゃんが弱視になってしまったら、なるべく早めに気づいて適切な対処を取ることが必要です。下記のようなサインがあったら、弱視の可能性があります。速やかに医師の受診を受けましょう。
- ・テレビにかなり近づいている
- ・視線がずれる
- ・頭を傾ける
- ・横目でものを見る
- ・目が揺れる
- ・黒目の中心が白っぽい
また、目の発達に遅れが生じている場合も、弱視の可能性があります。目の発達が正常かどうか確かめるためにも、定期的な検診を受けるようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんがかかる病気のうち、弱視について紹介してきました。
何度も述べているように、弱視を予防して改善するためには、早期発見が大切です。日頃から赤ちゃんの目の様子を観察し、少しでも気になることがあったら速やかに専門医に相談しましょう。また、弱視のサインがなくても、定期的な目の検査を受けるようにしてください。
赤ちゃんの将来のために、家族や医師と協力して、健康な目を守っていきましょう。
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