多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズとは
眼鏡を極力使いたくないというアンチエイジング志向が高まる近年では、多焦点眼内レンズの注目が高まっています。このレンズを入れると遠くも近くも見えるようになるため、眼鏡をかける必要性がぐっと減ります。新聞を読もうと思って老眼鏡を探していた方はその必要がなくなります。
通常の眼内レンズと多焦点眼内レンズとでは、それぞれ長所と短所があるため、診察の際に詳しく説明しています。ご自身の生活に合ったレンズを選択いただきたいと思います。
多焦点眼内レンズでの老眼治療
多焦点眼内レンズを入れる手術は先進医療となります。そのため、通常のレンズを入れる手術より高額で片眼57~72万円(使用するレンズにより異なります)で、手術費用のみ自費扱いとなります。ただ当院は厚生労働省の先進医療の認可を得ているため、手術費用以外の術前と術後の診療費は健康保険を使うことが出来ます。
究極の眼内レンズ
一般の多焦点眼内レンズ(回折型レンズ)…は遠くと近くの2点にピントが合うような構造でした。
例えば
- 買い物で陳列商品を眺めながら手に取った商品の値段が見える。
- 旅行先でガイドブックも見えて景色も良く見える。
- ゴルフで打球も追えてスコアブックも見える。
- 左右で目の見え方に違いがある
しかし中間距離のピントが甘い、なんとなくシャープに見えない、夜間車のヘッドライトがにじんで見える(グレア、ハロー)などの欠点がありました。これは回折型レンズ(レンズの光学部中央から同心円状にリングがデザインされている)の構造上目に入った光エネルギーが約20%損失するためといわれています。
最近ではドイツ、ベルギーから輸入した最新の多焦点レンズも使用することができるようになりました。これにより従来の眼内レンズの欠点を克服し、患者さんにより良い視力を提供することができます。
多焦点眼内レンズの種類
FINE VISION(ファインヴィジョン)
3焦点眼内レンズ
遠近両用のレンズを入れると遠くも近くも眼鏡なしで見えるようになります。ただ、仕事上ほとんどの方が使われるパソコンなどの中間距離は見えにくいという欠点があります。それを補える遠方、中間、近方が見えるトリフォーカルレンズがあります。特に現役でバリバリ仕事をする方にはおすすめのレンズです。
先進国では、ヨーロッパを中心に約20%以上がこのようなプレミアムレンズを選び、FINE VISIONは現時点で使用できる最先端のレンズとなります。もちろん乱視矯正レンズの用意があります。トリフォーカルレンズは眼の症状によっては適応、不適応がありますので、手術前に担当医師とよく相談して手術を決めて下さい。
MINIWELL(ミニウェル)
EDOFレンズ(遠方から近方まで自然に見えるレンズ)
EDOF(焦点深度拡張型)のレンズで、球面収差を利用し遠方から近方まで焦点を結ぶ範囲が広い画期的なレンズです。
従来のレンズで見られたハロ・グレアも軽減され夜間も視界がクリアになり、より自然な見え方が実現されています。
また、近方視はやや弱いため、手元の細かい文字は眼鏡が必要なケースもありますが、コントラスト感度の低下もほとんどなく、有水晶体眼に最も近いレンズです。
夜間自動車の運転が多い方や、遠方重視のスポーツをされる方、料理やパソコンなどの中間距離重視の方にもお薦めです。
手術費用
- MINIWELLはイタリア、Intensityはイスラエルに発注を行い、納期まで4~8週間程度かかります。
- すべてのレンズにおいて、前金をお支払い頂いた後に発注いたします。前金は片眼220,000円となります。
- クレジットカードもご利用いただけます。
- 自己都合でのキャンセルの際には前金がキャンセル料に充当されます。
- 手術当日は合計の手術費用から前金を引いた差額をお支払いいただきます。
- 多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は全額自費診療となり、手術費用には術前、術後3ヶ月までの検査、診察、薬剤費が含まれます。
なお、白内障以外の治療については含まれません。 - 手術時に予定したレンズが使用できない場合がございます。その場合には、保険診療にて手術費用を清算いたします。
多焦点眼内レンズの種類 | 手術費用 |
---|---|
Clareon Vivity | 片眼 621,500円(税込) |
FINE VISION | 片眼 676,500円(税込) |
PanOptix | 片眼 621,500円(税込) |
PanOptix 乱視用 | 片眼 676,500円(税込) |
Synergy | 片眼 632,500円(税込) |
Synergy 乱視用 | 片眼 687,500円(税込) |
MINI WELL | 片眼 687,500円(税込) |
MINI WELL 乱視用 | 片眼 742,500円(税込) |
Intensity | 片眼 742,500円(税込) |
Intensity 乱視用 | 片眼 819,500円(税込) |
最後に
多焦点眼内レンズの種類によって、一生涯の見え方や生活の質に大きな影響を与えます。
適切なレンズを選ぶ際に、現在の生活がどのように変化するかを想像することは比較的簡単です。ところが20年後や30年後の生活を想像することはずっと難しいものです。
このような時、ご両親の生活を振り返ることで、将来の自分を想像しやすくなるかもしれません。遠くは見えるけれど近くは見えない父、近くは見えるけれど遠くは見えない母、遠くも近くも見えてメガネを使わず生活する父。
ご自身が今後どのように生活をしていきたいか、ご両親の姿を思い出しながら理想の将来を想像し、最適なレンズを選ばれることをお勧めいたします。