マイボーム腺梗塞

MEIBOMIAN/ TREATMENT

マイボーム腺梗塞とは

目を維持するために「涙」は大切な役割を果たしています。涙には目を乾燥から守る、汚れやゴミを洗い流す、角膜へ酸素や栄養を補給するなどの働きがあります。涙のほとんどは水分ですが、水分が蒸発しないように涙の表面に油がのっています。その油を分泌しているのが睫毛の付け根にあるマイボーム腺です。このマイボーム腺の働きが低下してしまう病気を、マイボーム腺機能不全(Meibomian Gland Dysfunction:以下、MGD)といいます。

マイボーム腺の原因

マイボーム腺とドライアイ

人間は瞬きするたびに涙腺からは水分が、マイボーム腺からは油がでるようにできています。涙の成分が油不足になっても水不足になっても、ドライアイ症状を引き起こします。

ドライアイの患者さんの80%以上はMGDによって起こる油不足が関係しています。MGDの多くは不定愁訴(なんとなくの不調)のため見過ごされてしまっている方も多く、高齢の方では特にひどくなっていることもよくあります。

まつ毛の生え際の白いブツブツは?

まつ毛の生え際に見つけた白いブツブツのようなもの、それがマイボーム腺機能不全(梗塞)です。これはマイボーム腺から分泌される油分が出口で固まってしまうことで起こります。大きくなると目の内側に白い塊ができ、ごろつきや違和感を起こします。涙の油分が減ってドライアイを引き起こす原因にもなります。そこへ細菌が感染するとものもらいを起こしてしまいます。

この症状は加齢によって油の分泌能力が落ちた方に起こりやすいとされ、60代以上の62%と言われています。しかし近年は若い女性にも増えて来ました。その原因は目元の不衛生です。 一日頑張ってくれた目元メイク、取るときはもう疲れていますよね。落としたつもりでも落としきれていなかったりすると、細かな汚れがマイボーム腺を詰まらせてしまう原因になってしまうのです。 特にまつ毛エクステンション(まつエク)をつけていると、取れてしまうことを気にしすぎて目元のお化粧が落とし切れなていないことがあります。洗顔の際には縦に優しく、指先を上下に動かして撫でるように洗えば、まつエクへの刺激を最小限にしながらしっかりと洗うことができます。使用するクレンジングはまつエクに対応しているものを使用してください。

こんな症状はありませんか?

  • 目が不快である、常に目が気になる
    (眼不快感)
  • 涙がでる
  • 目がゴロゴロする、目やにが出る
  • 目が乾く

このような症状でお悩みの方は、ぜひマイボーム腺を見てもらってください。

マイボーム腺の治療

マイボーム腺のケアはお薬以外に、ご自宅で行うと効果が高まる、温罨法(おんあんぽう)と眼瞼清拭がお勧めです。
温罨法はまぶたを温めることで、マイボーム腺のつまりを緩和します。毛穴に似た構造のマイボーム腺の出口を開き、脂をとかし、まぶたの血流を改善する効果があります。まぶたの温度と湿度を上昇させて一定時間保つ、ということが大切です。
温罨法により「気持ちいい」「目が楽になる」など実感がわき、忙しい現代人をリラックスさせる効果が得られます。 そのほか青魚などに多く含まれるω3、6という不飽和脂肪酸の摂取も効果的です。

眼瞼清拭は汚れたマイボーム腺のお掃除です。指のはらで睫毛の根元周囲をやさしくマッサージするように行います。油の排出を促し、固まってしまった脂や角化物の詰まりの除去、およびマイボーム腺周囲の細菌を減らします。当院ではアイシャンプーをお勧めしています。アジスロマイシン点眼薬の効果も指摘されています。デモデックスというまつ毛ダニがついている方もいますので、「本当の意味でのキレイな目」を目指してしっかりとキレイにしたいですね。

この治療を1日5分、朝晩2回行えると効果が早く出て、実感もわきます。毎日繰り返し行うことが大切ですので、歯磨きなどと同じようにぜひ習慣として日常生活に取り入れてください。

ただし、アレルギーのあるかたは目を温めることで目が赤くなったり、かゆくなったりすることがありますので注意深く行ってください。

マイボーム腺治療の情報発信を行うLIME研究会がビデオにまとめてあります。ぜひご参考になさってください。

MGD治療

懸命に治療してもなかなか治らない時もあります。この方には先進のMGD治療をお勧めしております。IPL(Intense Pulsed Light)という光を下眼瞼に照射することで、マイボーム腺から出る油層を改善させる画期的な治療法です。
下まぶたのまわり、耳から頬にかけてIPLを照射することで、マイボーム腺を活性化し涙の油層を改善させます。皮膚へのダメージを最小限に抑えるため、4回を1クールとし少しずつ改善させていきます。ドライアイへの効果はマイボーム腺や肌のコンディションによって個人差があります。照射直後には発赤や軽いカサブタが形成される場合がありますが、やがてシミやそばかす、肌のくすみ、ニキビ跡といったあらゆる肌の悩みも改善し美肌にもなる魅力的な付加価値のある治療です。肌への負担、ダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクをしていただけるため、気軽に受けていただけます。

IPL治療の原理

IPLには黒い色素と赤い色素に反応する特徴があります。そのため、メラニンや色素沈着などに反応し、シミや赤ら顔を改善します。また、肌の深部に届いた光がコラーゲンを作り出す線維芽細胞の働きも活性化させるため、肌のハリや毛穴も改善していきます。

アメリカのMGD治療

IPL アジスロマイシン Lid Hygene ω3, 6摂取
デモデックス,細菌
抗炎症
鬱滞改善
温度上昇
閉塞解除

IPLのみがMGDに対する唯一の根本的治療 (LIME研究会より改変)

気をつけたいドライアイの落とし穴

涙液の状態の詳細な異常、マイボーム腺の異常をしっかりと診察しないまま、ドライアイの治療を長年受けている方もいます。よく見ると涙液は大丈夫、でもドライアイの訴えがある。この中には眼瞼痙攣という病気も隠れていることがありますので、あてはまる方はこちらのページもご覧ください。

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