硝子体手術

SHOUSHITAI / TREATMENT

硝子体手術
(しょうしたいしゅじゅつ)

当院では、硝子体手術はすべて25ゲージのとても小さな穴しかあけない、低侵襲の方法で手術しています。
手術の際には局所麻酔を行います。これにより微細な眼内での手術に際して、障害となりうる眼球運動を抑えます。
白内障が眼内を観察するのに障害となる場合、また、手術後に白内障が視力低下の原因となりうる場合は、まず白内障を取り除きます。

硝子体手術の流れ

結膜(白目の部分)に穴を3つ開けます。1つは、目が萎まないように圧力を維持するためのパイプをつなぐ穴。
2つ目は、目の中は真っ暗なので、ライトを入れる穴。
最後に硝子体や出血、余分な膜を取り除くための道具を入れる穴です。あまりに小さいため、ほとんどの場合、手術終了時にあけた穴は縫わないで済みます。また、手術後に傷跡が目立つこともありません。

疾患に応じて硝子体・網膜・血管の処理を行います。手術の最後に、眼内液、ガス、シリコンオイルを目の状況に応じて填入し、終了となります。

手術後は、手術の方法によりリカバリールームにて1時間程度お休みいただきます。

手術内容について

  • 眼内にガスまたはシリコンオイルを入れる治療法の場合、術後は、基本うつ伏での安静位を保っていただきます。
    眼内のガスは徐々に液体に置き換わっていくため、術後早期に仰向けになると、きちんと接着されていない網膜が液体に浸かってしまい、「ふわり」と剥がれてしまうからです。
    また、シリコンオイルの場合は、水より軽いため、仰向けになると圧迫する効果が薄れます。
  • 手術時間は手術の方法がお一人お一人異なるため、手術のインフォームドコンセントに際に、お話させていただきます。
  • 手術施行後、感染症などの合併症や、網膜剥離、出血などが起こったり、もとの病気の再発があれば再手術が必要になることもあります。
    また、多期手術といって最初から複数回にわたる手術を予定することもあります。
    インフォームドコンセントの際に、起こりうる合併症や、手術リスクについてご説明させていただきます。

手術対象となる疾患

1. 黄斑前膜

網膜の表面に膜がこびり付くことにより、網膜が引っ張られ、歪みや視力低下の原因となります。治療としては、余分な膜を無害な染色剤で染め、先の細いピンセットで網膜表面からこの膜をはがします。

  • 黄斑前膜術前

  • 黄斑前膜術後

2. 黄斑円孔

網膜の表面に頑固な膜がこびりついてしまい、網膜が引っ張られた結果、穴が空いてしまっている状態。牽引の元となる膜を黄斑前膜同様にはがした後、無害なガスを眼内に充填し、圧迫して閉鎖を待ちます。

3.硝子体出血

網膜の中や外の血管が何らかの理由で壊れてしまい、硝子体の中に出血してしまった状態。自然に引くこともありますが、網膜剥離や黄斑変性を伴っていることが多く、診断及び加療目的に手術を施行して出血を除去します。

4.裂孔原性網膜剥離

網膜が硝子体に引っ張られることで、裂け目や穴ができてしまい、そこから網膜がはがれてくる病気。剥がれた網膜は徐々に機能を失い、失われた機能は再生しないという怖い病気です。眼科的には1秒を争う病気の一つです。
裂け目の周りの硝子体を綺麗に取り去り、牽引を解除します。その後、目の中を無害なガスで充満し、網膜を圧迫して固定します。とどめにレーザーや冷凍装置で網膜を目の壁に鋲打ちします。

5.糖尿病網膜症

糖尿病網膜症を発症している方の硝子体は、壊れた血管から溢れ出た炎症物質で充満しているため、至るところに網膜の腫れやかさぶた様の膜がくっつきます。膜は分厚くなれば網膜を破ったり、血管を引きちぎったりします。手術では、硝子体を可能な限り切除し、悪い膜や出血を取り除きます。またその原因となっている壊れた血管を止血し、さらに悪い血管が生えてこないようにレーザーで鋲打ちしておきます。

6.その他

増殖硝子体網膜症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜下出血、硝子体混濁など

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